癌という病気に直面されている方々にはさまざまな考え方があると思います。癌治療の現状で紹介した「がんと闘わない」というものも尊重されるべきだと思います。 しかし別の考え方も有って良いと思います。次に花小金井クリニックからの提案を述べてみます。

 治療法を考えるうえでまず大切なのは原則的なものと思いますので、三点を挙げます。

@ 部分的にEBM*として認められている治療法をおこなう。
A 治療の安全性は最も重要だが、副作用がなく単独で治療効果が極め
  て高いものは現実には存在しないから、副作用が低いいくつかの治
   療法を組み合わせる。
B 複数の治療法を組み合わせる際にはお互いが補完し合い、より効果
  が高まるように組み合わせる。
  * EBM(エビデンス・ベースド・メディスン) : 明確な根拠に基づいた医療
    以上の状件を満たす具体的な治療法を提案しますと、温熱療法、免疫療法、小量の抗癌剤による癌休眠療法の三者を併用する治療法です。しかし後に述べますが、温熱療法と放射線治療との併用、温熱療法と癌休眠療法との二者併用等もおこなってまいります


−温熱療法−


  以下個別に説明を加えますが、温熱療法は放射線治療と併用して、進行性子宮癌治療のEBMであることが2年前に報告され、オランダでは第一選択の治療とされるに至っています。またほとんどすべての癌で有効例が報告されていますが、多数例の比較試験は十分におこなわれていません。




江川滉二先生 著
河出書房新社


−免疫療法−

  免疫療法は最も期待される癌治療のひとつですが、EBMとして認められているものは限られています。腎臓癌、メラノーマのサイトカイン療法、膀胱癌の膀胱内注入療法、大腸癌の術後再発予防などですがいずれも一般的とは言い得ません。また免疫療法の内容は多岐にわたっていますので、EBMには至っていませんが、一般的で具体性を持ち、かつ一定の治療成績を提示しているものに限る必要があると思います。東大名誉教授江川滉二先生が主宰される瀬田クリニックグループの活性化リンパ球療法が先の状件に合致すると思われます。詳しくは瀬田クリニックグループのホームページ(http://www.j-immunother.com/ )を御覧いただきたいのですが、15%から30%の有効率と最も完備されたリンパ球培養技術が特徴となっており、当院とも密接な連携がとられています。ただ残念なのは一定の経済的負担がかかりますので、先に述べました別の併用療法も必要となります。

−癌休眠療法−


  癌休眠療法は、日本では金沢大学の高橋豊先生が提唱された方法で、日本癌治療学界でも高い注目を集めているものです。小量に分割した抗癌剤をより頻回に投与することで、副作用を減らし、癌の増殖を抑制しようとするものですが、大腸癌で良好な成績が報告されています。いまだEBMとは認知されていませんが、現在世界的にも検証過程に有り、臨床的には広く受け入れられ始めています。

−併用療法−

  以上三種類の治療法の併用に関しての妥当性は臨床的なもの、基礎研究面からのものが存在します。温熱療法と抗癌剤治療の併用はすでに確立していますが、温熱療法と癌休眠療法の併用も、岡山市の岡村一心同病院から、肺癌において良好な成績が報告されています。免疫療法と小量の抗癌剤の併用は基礎研究の面では既に20年以上前から知られていますが、臨床的にも免疫化学療法として盛んに試みられています。温熱療法と免疫療法の併用は基礎的には併用効果が予測されますが、臨床的には有効例が散見される程度でEBMには至っていません。

  花小金井クリニックの提案は、以上述べましたように、個別には既に安全性が十分に確認された治療法を、それぞれの治療法の限界を打破する為に有機的に組み合わせたものです。進行癌治療の一助となることを確信しております。